Game Theoretic Receding Horizon Cooperative Network Formation for Distributed Microgrids: Variability Reduction of Photovoltaics
AMATERASS/EXAM関連の日射量情報を活用した分散型マイクログリッドと太陽光発電出力変動低減の研究。
doi:10.9746/jcmsi.6.281 →AMATERASSは、単なる画像処理や経験的モデルではなく、静止衛星観測データを物理的に解析するシステムです。太陽放射は水蒸気、オゾンなどの吸収ガス、エアロゾル、雲粒子、レイリー散乱などの影響を受けながら地表面へ到達します。AMATERASSでは、こうした吸収・散乱、地表面—大気間の多重反射効果等を考慮して太陽放射量を解析します。
このシステムは、放射伝達計算とニューラルネットワークによる高速化から始まりました。さらに、静止衛星データを物理量として安定して利用するためのセンサ校正、時系列解析に不可欠な衛星観測位置情報補正アルゴリズムと緯度経度グリッドプロダクト生成技術へと展開し、太陽光発電・太陽熱利用、陸面・水文、農業・植生、社会システム、防災・国土強靭化等、分野横断的な太陽放射量データ利用を支える基盤となっています。
静止衛星観測データを準リアルタイムで処理し、地表面および大気上端の放射量プロダクトとして提供します。衛星観測から10分後を目安にデータを得ることができます。
静止衛星観測に基づく広域日射量プロダクトを10分ごとに更新します。雲や水蒸気などの影響、地域的な日射変動を時空間的に把握でき、再生可能エネルギー、気候、環境応用の基盤データとなります。
高時空間分解能による日射量および太陽光発電出力推定を提供します。一部領域では2.5分毎の解析も実施しており、電力系統の需給管理や出力予測に活用されます。
複数の静止衛星を用いた解析と全球日射量プロダクトへの挑戦です。ひまわり領域から複数の静止衛星領域へ解析を拡張することで、広域・高頻度モニタリングを目指します。
AMATERASSは、単なる画像処理や経験的モデルではなく、静止衛星観測データを物理的に解析するシステムです。大気中の吸収、散乱、雲の影響、地表面—大気間多重反射などを通して放射量を推定します。
放射伝達計算、現地観測、地点スケールの検証、高頻度衛星データを組み合わせ、観測放射輝度を物理モデルを介して全天日射・直達日射・散乱日射などの物理的に意味のある放射量へ変換します。
放射伝達計算、現地観測、地点スケールの検証、高頻度衛星データを組み合わせ、観測放射輝度を物理モデルを介して全天日射・直達日射・散乱日射などの物理的に意味のある放射量へ変換します。
衛星輝度を、気体・エアロゾル・雲・分子による大気の吸収・散乱を通じて解釈します。観測された放射量を大気の光学特性と結びつけることで、物理的に意味ある日射量の推定が可能となります。
地上観測と観測点上空の地点スケール推定から出発し、段階的に広域衛星解析へと発展してきた研究の積み重ねがあります。スカイラジオメーターやマイクロ波放射計、日射計ネットワーク(SKYNET等)による現地観測が、衛星推定の基盤を支えています。
複数地点の地上観測データとの比較により、衛星ベースの地表面日射量推定の定量的信頼性を評価・検証します。検証の積み重ねが、AMATERASSプロダクトの科学的品質を支えています。
AMATERASSは、大規模なルックアップテーブルだけに頼るのではなく、ニューラルネットワークに放射伝達計算そのものを学習させるという発想から始まりました。一般的な衛星解析で使われるLUT法は、対象パラメータが増えるとデータベース容量や内挿処理が急速に複雑化し計算コストの増大から解析が不可能になります。そこで、放射伝達モデルの物理過程を保持したまま、高精度に近似する学習アルゴリズムを開発し、放射パラメータから日射量を高速に推定出来るようになりました。
この技術基盤が、物理解析、ニューラルネットワークによる高速化、準リアルタイム衛星解析を接続しています。厳密だが計算コストの高い放射伝達計算を、高頻度な衛星観測スケジュールに同期できる実用的な計算速度へ引き上げた点が、AMATERASSの中核的な特徴です。
放射パラメータから放射伝達計算を学習し、物理に基づく日射量推定を高速化するためにニューラルネットワークの学習アルゴリズムを開発しました。このアプローチは、詳細な大気物理と高頻度衛星観測の実運用処理をつなぐ計算上の橋渡しとなりました。経験的な回帰モデルではなく、放射伝達モデルを高精度に近似するソルバーとしてニューラルネットワークを用いる点に特徴があります。
Distortion-BP法は、放射伝達計算を学習し、放射パラメータから日射量を推定するために開発されました。このアルゴリズム基盤により、大規模ルックアップテーブルへの依存を低減し、パラメータ数の増加に伴うデータベース肥大化や内挿処理の複雑化を回避しながら、放射計算を高速な準リアルタイム衛星解析へ接続しました。
放射伝達計算を学習したニューラルネットワークソルバーにより、物理に基づく放射量推定を約1,000倍高速化しました。この高速化により、広域・高時間解像度の静止衛星観測を実用的に解析し、大気放射プロダクトを準リアルタイムで処理できるようになりました。
AMATERASSは単一データセットの話ではありません。放射収支の理解を目的とした大気物理解析から出発し、高速放射計算、衛星搭載センサ校正、準リアルタイム運用、衛星観測位置情報補正と高精度グリッドプロダクト生成技術へと発展し、東日本大震災を契機に太陽光発電応用や分野横断的な研究連携へと展開、さらにNASAとの国際共同研究へとつながっていきました。
ニューラルネットワークによる放射伝達計算の高速化により、物理計算に基づく高速な日射量推定が可能になりました。
気象庁との共同研究により、静止衛星データの安定した物理解析に貢献する校正手法の開発が行われました。開発された手法は気象庁からWMO/GSICSへ日本の校正技術として提案されています(JMA/MSC校正技術ガイド)。
ひまわり6号(MTSAT-1R)観測を用いた準リアルタイム太陽放射解析を2007年7月7日に開始し、ひまわり7号、8号、9号へと衛星世代の更新をまたいで継続してきました。当初は1時間毎のフルディスク観測から始まり、現在は10分毎のフルディスク観測と2.5分毎の日本領域観測へ発展しています。
Geo-information Correction methodにより、観測ごとに生じる位置情報の誤差を補正し、定量解析に適した高精度な静止衛星グリッドプロダクトの生成が可能になりました。時系列で見ると手ブレ映像のように現れる衛星データの揺らぎを抑え、雲や地表面の変化を緯度経度グリッド上で安定して追跡できます。
2011年の東日本大震災以降、AMATERASSは衛星に基づく太陽光発電推定と異分野融合に舵を切り、エネルギー、電力システム、社会システム等、他分野の研究者とのデータ共有へ展開しました。
本システムは、気象・気候、再生可能エネルギー、農業、社会科学、防災・減災など異分野を横断する研究と応用を支えています。また、AMATERASSの研究開発で構築された技術はNASAとの国際共同研究にも展開され、NASA GeoNEX L1Gプロダクトの開発にも繋がりました。
静止衛星は地球からほぼ静止して見えるため、同じ領域を高頻度で観測できます。これは雲などの時々刻々と変化する地球大気を解析する上で大きな利点です。一方で、走査ミラーの動作、衛星姿勢、ナビゲーション誤差により、観測ごとに位置情報の誤差が発生します。Geo-information Correction methodはこの位置情報を補正し、後段の放射解析や時系列解析に適したグリッド形式データの作成を可能にします。
AMATERASS関連の研究開発で構築された補正アルゴリズムと、静止衛星ディスクデータから緯度経度グリッドへ変換する機能は、NASA GeoNEX L1Gプロダクトワークフローを含む、その後の静止衛星グリッドプロダクトにつながる技術的系譜の一部となりました。AMATERASSで必要とされた「物理量を安定して比較できる衛星データ」への要求が、広域グリッドプロダクトにも接続されています。
静止衛星は、衛星投影上のディスク状データとして地球を観測します。このままでは緯度経度格子上の気象データ、陸面データ等その他のデータと重ね合わせることが難しくなります。AMATERASS関連アルゴリズムは、これらの観測を緯度経度グリッドプロダクトとして生成し、概念的にはLevel-1A相当のディスクデータをLevel-1B相当のグリッドプロダクトへと変換します。
位相限定相関(2次元FFT)を用いた誤差計算、SRTM 1秒メッシュなどのランドマーク情報、グリッド形式処理により、静止衛星観測データに含まれる位置情報の誤差を補正します。この補正は衛星データの時間方向の安定性を向上させ、緯度経度グリッド上での定量マッピング、合成、時系列解析を支援します。
NASA NEXへ提供されたAMATERASS由来の衛星観測位置情報補正・グリッドプロダクト生成プログラムが、GeoNEXチームによる改良・ワークフロー統合・実行を経て、NASA GeoNEX L1Gプロダクトの開発に用いられました。
放射収支・雲・エアロゾル・衛星校正・気候モデル評価。
太陽光発電出力推定・太陽資源評価・分散型電力システム。
作物・果樹の環境評価、放射駆動の生産性、気候影響解析。
地域エネルギー計画・需要側解析・都市システム・データ駆動型意思決定支援。
分散型発電・停電時のレジリエンス・水資源・緊急時エネルギー計画。
以下の事例はおおむね時系列順に掲載しています。論文タイトルは原著の言語のまま掲載しています。
AMATERASS/EXAM関連の日射量情報を活用した分散型マイクログリッドと太陽光発電出力変動低減の研究。
doi:10.9746/jcmsi.6.281 →衛星導出日射量が日本の陸面解析における放射・熱・水収支成分を改善することを示した研究。
doi:10.3178/hrl.9.14 →高空間分解能日射量データが太陽光発電導入配電網の電圧制御と系統復旧を支援することを示した研究。
doi:10.1061/(ASCE)EY.1943-7897.0000352 →地上観測によるひまわり8号地表面日射量推定の検証と衛星導出プロダクトの信頼性を示した研究。
doi:10.5194/amt-11-2501-2018 →AMATERASS由来の気象入力データを用いた活動ベース住宅建築エネルギーモデルを、日本全国の郵便番号地区スケールで適用した研究です。地域ごとのエネルギー需要パターンの把握と政策立案への活用が期待されます。
doi:10.26868/25222708.2019.211024 →AMATERASS関連の位置情報補正・グリッドプロダクト生成ワークフローに連なる複数静止衛星グリッドプロダクトの紹介。
doi:10.3390/rs12081267 →ニューラルネットワークによる前日スケジューリングが再生可能エネルギーの不確実性と電力市場意思決定を結ぶ研究。
doi:10.9746/sicetr.56.57 →静止衛星観測と数値気象予測出力の融合による地表面日射量予報精度の改善。
doi:10.1016/j.solener.2021.05.055 →高頻度静止衛星観測により雲に覆われたアマゾン常緑樹林の緑の季節性を検出した研究。
doi:10.1038/s41467-021-20994-y →AMATERASSベースのアジア太平洋域広域日射量解析により太陽エネルギーの戦略的活用を支援した研究。
doi:10.1016/j.solener.2024.112678 →ひまわり8/9号データを用いた東アジア全域の日変化GPPモデリング。フラックスタワー観測と炭素循環評価を結ぶ研究。
doi:10.1016/j.rse.2025.114866 →AMATERASSの解析プロダクトは、複数の研究分野とプロジェクトにおける基礎的な日射量・再生可能エネルギーデータセットとして広く活用されています。
AMATERASSと関連する衛星ベース日射量研究は、新聞・機関ニュース・アウトリーチ記事を通じて広く紹介されています。
竹中栄晶は衛星リモートセンシング・大気放射・日射エネルギー応用を専門とします。千葉大学環境リモートセンシング研究センター(CEReS)で大気放射を学び、2009年に理学博士号を取得。その後、東京大学大気海洋研究所(AORI)およびJAXA地球観測研究センター(EORC)で研究を続けました。
AMATERASS(静止衛星データを用いた準リアルタイム日射量解析システム)を開発。2007年7月7日以来、ひまわり静止気象衛星観測に基づく準リアルタイム日射量解析を継続運用しています。
気象庁気象衛星センターとの共同研究を通じて静止衛星解析の物理的信頼性の向上にも貢献し、開発された代替校正手法は気象庁によって日本の校正技術としてWMO/GSICSへ提案されました。2011年の東日本大震災後は、AMATERASSを再生可能エネルギー・電力システム研究へと展開し、分野横断的なデータ共有を積極的に進めました。さらに、位相限定相関に基づく衛星観測位置情報補正法を開発し、NASA Amesとの国際共同研究およびNASA GeoNEX L1Gプロダクトワークフローへの貢献へと発展しています。AMATERASSの解析結果は様々な研究フィールドで基礎データとして活用されています。